カイゼンとは?改善やKAIZENとの違いや5S活動・トヨタ生産方式との関係
カイゼンとは?
世界で行われているカイゼン
カイゼンとは、作業や業務の中にあるムダを排除し、より価値が高いものだけを行えるように、作業や業務のやり方を変える活動を行うことを指します。
現場の作業者1人1人が知恵と創意工夫を出しながら全員参加で行うのがポイントです。
カタカナの「カイゼン」という言葉は、元々は製造業の生産現場で行われている活動を指して使われていましたが、現在では生産現場に限らず間接部門やその他サービス業でも使われています。日本から生まれたカイゼンは、海外でもそのまま「KAIZEN」と表記・表現されるほど重要なキーワードとなっています。
カイゼン、改善、KAIZENの違い
”かいぜん”という言葉は、音声にすると一緒ですが、文字で表現すると次の3つの表現があります。
① 改善
② カイゼン
③ KAIZEN
実はこの3つは、意味や使用される場所が異なります。3つをしっかりと使い分けて会話が出来ていたら、詳しい人から見るときっと一目置かれるはずです。
それではそれぞれの意味を確認していきましょう。
① 漢字で書く「改善」の定義
改善とは、悪い状態を良い状態に変えることです。英語で表現すると「improvement」です。
② カタカナの「カイゼン」の定義
カイゼンとは、現状に満足せずに、自ら問題に気付き改善し続けることで、より良い状態へ変化し続けることです。
カイゼンのポイントは、
・現状に満足しない
・自ら問題に気付く
・より良い状態へ変化し続ける
という3つです。
つまり、「継続的な改善を行うこと」がカイゼンであると捉えるのが、正しい解釈です。悪い状態を良くすることが「改善」であることは間違いないのですが、カタカナの「カイゼン」は、今を良しとせずに、より良い状態を目指して改善を繰り返していくことなのです。
③ アルファベットの「KAIZEN」定義
KAIZENは、②の「カイゼン」と同じ意味で、海外で使われている表記です。英語で改善という単語は「improvement」ですが、「継続的な改善を行う」という日本的なカイゼンの意味がこの単語だけでは正しく表していないこともあり、日本語がそのまま英語になったという経緯があります(和製英語というやつですね)。
カイゼンの目的
現場には必ず問題が潜んでいます。毎日現場で働いていると、その問題にも慣れてしまい、問題を問題と思えなくなってしまうことがあります。従って、問題に気付き共有するカイゼン活動の取り組みを継続的に行うことが欠かせません。
一般に、仕事とは「作業・業務+カイゼン」であると言われます。
ただ手を動かしたりするのは、仕事の一部でしかありません。作業に加えて、カイゼンを行い、作業や業務が楽に出来るように作業の方法を見直しをしたり、より効率的に進められる手順を考えるような取り組みが出来てこそ、本当の意味で仕事が出来ていると言えるのです。
つまり、指示されたことや定型的に決まったことだけを行うのではなく、自ら問題に気付いて改善を繰り返すという「カイゼン」までを含めて仕事だということです。ただ作業を行っているだけでは仕事が出来ているとは言えないというのは、しっかりと胸に刻んでおきたい考えでもあります(奥が深いですね!)。
以上をまとめると、カイゼンというのは、単に特定の仕事を改善するという狭い範囲を指す言葉ではありません。あえて現状を否定して、”仕事の質をより高い状態で行える”ように変えていくことがカイゼンの目的となります。
トヨタ自動車発祥の”トヨタ生産方式”とカイゼン
カイゼンの先駆者であるトヨタ自動車
カイゼンの先駆者は、日本を代表する企業であるトヨタ自動車です。トヨタ自動車では、カイゼンは仕事のど真ん中だと捉えられています。カイゼンは仕事のついでに行うのではなく、中心に置かれるものだと考えられています。
トヨタ生産方式は、ジャストインタイム、カンバン方式、ニンベンの付いた自働化、モノの流れのカイゼン等の概念が有名ですが、ベースとなるのは、このカイゼンのマインドです。
トヨタマンは、常に「なぜ」を問う
トヨタマンは、常に「なぜ」や「もっとこうできるのではないか」を問いながら仕事をしている人が多いと言います。
「なぜこのやり方を行うのか?」
「なぜこのデータは見える化されていないのか?」
「なぜあの工夫やノウハウは横展開されていないのか?」
「なぜ全数目視検査を行わなければいけないのか?」
こういったことを常に考えながら仕事をしているということです。働いている多くの人がこのようなマインドで仕事をしているので、継続的に仕事がカイゼンされ、業務の効率化が進むのはある意味当然です。不景気や有事の環境下でもトヨタ自動車の強さが際立っているのは、このカイゼンマインドが強みとなっていることは、想像に難くありませんね。
日常におけるカイゼン活動、5S活動との関係
日常業務の中で行われるカイゼン活動
職場での日常業務において、カイゼン活動は様々な方法で導入されています。例えば、改善提案もその1つです。製造業に勤めた人であれば、1度は「改善提案書」や「改善報告書」や「創意工夫提案書」等を書いた経験があるのではないでしょうか。
カイゼンは全員参加で行うことでより大きな効果を発揮するため、このような改善提案の取り組みを導入することで、全社的なカイゼンマインドの醸成を狙いとしている企業が多々あります。
5S活動もカイゼン活動の1つ
また、5S活動もカイゼン活動の1つです。5S活動とは、整理・整頓・清掃・清潔・躾の5つの視点で職場をキレイに維持し、業務の効率等を向上させていく取り組みです。例えば、職場に本当に必要な物だけになるように整理を行ったり、物を見間違えたりしないように誰でも分かりやすいラベルを貼る等、整頓の改善策を考えたりするような取り組みを継続的に行います。
この5S活動を進めていく際にも、まずはどこに問題があるのかを認識することが欠かせません。カイゼンのマインドを持って5S視点での問題点や改善案を考えていくことは、まさにカイゼン活動の一環です。
安全衛生、品質改善に関する活動もカイゼン活動の1つ
5S活動以外でも、安全衛生に関する活動、品質改善に関する活動等、全て同じ視点です。つまり、各種の活動は、「どの分野を重点的に進めるか」の違いです。ベースとなるのは、自ら問題に気付き、改善を繰り返すというカイゼンの考え方となります。
あらゆる分野・業種・国で取り組まれているカイゼン
オフィスエリア、セールスの現場でも
昔は工場の現場で行われるのがカイゼンでしたが、今では工場の事務所・スタッフ部門等のオフィスエリアはもちろん、営業部門等のセールスの組織の中でも行われています。
更に近年では、物流、建設業、サービス業、病院、市役所等の行政の組織等、製造業以外の様々な領域にもカイゼンは広がっています。カイゼンはもはや仕事において共通用語のような存在になっているのです。
どんな業種、どんな職種でも、仕事においては、必ずカイゼンのマインドを持って取り組まなければいけません。業種・職種問わず、今行っていることが本当に一番良いやり方なのか、問題や無駄(ムダ)が潜んでいないのかを考え、是正したり軽減したりしながら仕事を行うことが大切だということです。
世界で取り組まれているカイゼン
そしてこのカイゼン考え方は、今や世界にも広がっています。トヨタ自動車をはじめとして、カイゼンにより強い現場を創り上げた企業は世界中に存在します。その後を追うように、多くの国の企業でカイゼンの考え方や手法の導入が行われています。
リーン生産方式として体系化され世界に広がっている
また、トヨタ生産方式に関しては、アメリカで過去に様々な研究が行われてきました。研究された結果は、「リーン生産方式」として体系化され世界に広がり、製造業はもちろん、病院、空軍など幅広い業界で導入されています。現在では、このリーン生産方式が日本に逆輸入され、日本企業でも導入されているケースも多々耳にするようになりました。
日本のお家芸のカイゼンが、今では世界中で取り組まれるほどのものになったというのは、日本人として嬉しい気持ちになりますね。
カイゼン活動におけるお悩みはありませんか?
カイゼンベースでは、様々な側面からのカイゼン活動のサポートを行っています。下記のようなお悩みがあれば、弊社コーディネーターに是非ご相談ください!
- どのような体制でカイゼン活動を行えば良いのか?
- どのように問題を分析すれば良いのか?
- 他社ではどのような事例があるのか?
- どのようなテーマを採用して進めているのか?
- どのような考えで目標設定は行うのか?
- カイゼンの評価や発表会はどのような形で進めれば良いのか?
- 業績に繋げるためにはどのように活動を工夫していけば良いのか?
- どのようなツールやテンプレートを使ったら良いのか?
等々、何でもご相談ください。
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