問題と課題の違いとは?辞書上の意味の違いや2つの関係について解説
問題と課題の定義
日常で何気なく使っている「問題」と「課題」、本当に正しく使えていますか?
あなたが日常で何気なく使っている言葉、例えば「問題」と「課題」。この2つの意味をしっかりと理解し、本当に正しく使うことが出来ていますか?
“言葉の定義”は、時としてコミュニケーションエラーを引き起こします。
曖昧なニュアンスを含む日本語だからこそ特に注意が必要な言葉の定義、今回は問題と課題の2つの言葉について、辞書上の意味の違いや2つの関係について確認していきます。また、「問題」と「課題」に関係する言葉である「現状」と「目標」も含めて、言葉の定義を確認してみましょう。
正しいものは?
でははじめに、あなたの現状の理解度をチェックしてみましょう。次の発言において、「問題」と「課題」の使い方が正しいもの、間違っているものはどれでしょうか?
- 今期、品質に関するトラブルが増加したことは大きな課題だ!
- 売上計画に対する進捗遅れは最大の問題だ!
- 検査担当者の検査技能向上が第一製造課の一番の問題だ!
さて、いかがでしょうか。パッと分かりましたか?
この使い方の間違いを明確に説明する出来ることが、あなたの理解は十分と言ってもよいでしょう。ただし、少し答えに自信がない場合は、本ページの内容をしっかりと理解することが必要です。一度覚えてしまえば難しいものではありません。
辞書上の意味の違い ~広辞苑でそれぞれの意味を確認してみよう!~
問題とは?
広辞苑で、それぞれの意味を引いてみると、問題とは、「研究・論議して解決すべき事柄」と記されています。
課題とは?
一方、課題とは、「課せられた題・問題」と記されています。
何だか、分かるようでよく分かりませんね・・・しかし、ビジネス上では、問題と課題は明らかに区別して使用されています。ではここから、この2つの違いを明らかにしていきましょう。
問題と課題は、関係性を押さえてこう覚えよう!
現状と目標にはギャップがある
物事には、現状があります。
現状は、今はどうなっているか、つまり実際の姿、予想される状態、予期せぬ結果などです。
そして、それに対して、目標があります。目標は、どうならなければいけないか、つまり、あるべき姿、期待される結果、ありたい姿などです。
この2つには当然ギャップがありますが、これが問題となります。目標と現状の差、解決すべき事柄のことです。
なお、問題点というのは、問題全体の中の一部であり、改善可能なこと、手を打つことが出来ることを洗い出したものです。
そして、課題とは、目標と現状の差を埋めるために、やるべきこと、やると決めたことです。
以上のように、問題というのは、現状と目標に差が発生しているという事実のことであり、課題というのは、その差を埋めるためのアクションという関係があるのです。
一言で表すと・・・
もう少し分かりやすく一言で表すと、問題とは、発生しているネガティブな事柄のことです。
そして、課題とは、そのネガティブな事柄を解決するために行うことであり、ポジティブな表現で自分達の意志が入ったものなのです。
これだと違いが分かりましたよね!
聞かれたらバッチリ答えられるように覚えておきましょう!
例題で「問題」と「課題」の違いを確認しよう
ブタ君のダイエットの場合
それではここで、問題と課題の違いを、ブタ君の体重を例にとって説明します。
まず、現状は、ブタ君の体重が100kgあることです。
それに対して目標は、70kgと設定するとします。
この時、問題は、目標より現状が30kg重いことです。
問題点は、食事の時間が不規則であること、間食が多いこと、お酒を飲む量が多いこと等が挙がります。
これらのことからブタ君の課題は、「食事は21時までに済ますにはどうしたらよいか。」「定期的に運動するにはどのような生活サイクルにしたらよいか」等となります。
目標との差が30kgという問題に対して、どうやって食事制限するか、どのような生活サイクルにするか、というのが課題です。
問題と課題の使い方の練習問題
現在、営業部でミーティングを行っています。
今から、営業部の「問題」を挙げようとしています。次の発言は、正しく「問題」を挙げているか考えてみましょう。
第1問!
「今月の販売計画が遅れている。」
これはいかがですか?
そうです、これは「問題」であり正しい使い方です。
この問題を課題へ落とすと、「顧客へのテレアポ件数を2倍にする」等のようになります。
第2問!
「お客様から頂く注文書に不備が多い。」
これはいかがですか?
そうです、これも「問題」であり正しい使い方です。
この問題を課題へ落とすと、「注文書の記載内容を明確化し、お客様に理解して頂く」等のようになります。
第3問!
「自分の担当顧客以外の進捗情報も見える化管理が必要だ。」
これはいかがですか?
そうです、これは問題ではなく課題ですね。
問題は、「自分の担当顧客以外の進捗情報が分からない」等が正解です。
第4問!
「特別な注文処理をしなければいけない顧客の手順マニュアル化が必要だ。」
これはいかがですか?
そうです、これも問題ではなく課題ですね。
問題は、「注文処理方法が担当者しか分からない」等が正解です。
第5問!
「在庫がすぐに分からないので、お客様に納期回答がすぐに出来ない。」
これはいかがですか?
そうです、これは「問題」であり正しい使い方です。
この問題を課題へ落とすと、「在庫情報のリアルタイムでの見える化をする」等のようになります。
ここまで来たら、問題と課題の違いに直ぐに気付くことができましたよね!
なぜ問題と課題をしっかりと使い分けなければいけないのか
全員に分かる言葉で表現していなければ「問題」が一人ひとり違ってしまう
日頃の改善活動や改革活動では、「問題」を無くすことが必要となり、「問題」がなくなれば目標を達成したことになります。単純明快ですね。ただし、そもそも「現状」と「目標」を全員に分かる言葉で表現していなければ、「問題」が一人ひとり違うものになってしまうのです。
示す「目標」が曖昧であり、更に一人ひとりの「現状」に対する捉え方も異なっている結果、「問題がある」と思う人もいれば、「問題がない」と思う人もいます。よくある光景ですね。
従って、「現状」と「目標」を全員に分かる言葉で表現することは、特に現場の課長やリーダーの方は是非意識して頂きたい重要な項目となります。
そして、「問題点」が明らかになったら、この「問題点」を無くすためにやるべきことが「課題」となります。「問題点」の範囲が広いと「課題」の数が多くなるので、「問題点」の表現については多少の工夫が必要です。
難しいものではないものの、慣れないうちは少し戸惑うかもしれません。こればかりは何度もやってみるに尽きます。いずれ必ず上手く表現できるようになります。ただし、一人で考えるよりは複数で議論しながら言葉にしていく方法をおススメします。認識や意識の共有も出来るため一石二鳥だからです。
図で描いてみると、複雑そうに感じていたものが明確に
以上のことをイメージで示すとこのようになります。
仮に目標A、目標Bを設定したとします。目標Aに注目すると、目標Aと現状の間に2つの問題点があり、問題点1をなくすための課題が2つあることを示しています。目標Aの問題点2をなくすための課題は1つであり、この課題3をやっつければ問題点2は無くせるということになります。
目標Bも同様に、目標Bの問題点2は課題が3つあり、この3つに取組めば問題点2を無くせるわけです。
図で描いてみると、複雑そうに感じていたものが、明確になります(実際に問題をつぶし込むのはもちろん難しいこともありますが)。このように図式化して全員が分かる言葉に表現することは、改善活動はもちろん、普段の業務においては非常に大切なことです。もちろん言葉ではなくても図やイメージでも構いません。
職場のメンバー(チームメンバー)が、一人ひとり頭の中に描いている絵を共通のものにすることで、チーム力が一気に向上します。その第一歩として、まずは言葉の定義に気を配り、誰でも分かる表現にすることを心掛けてみましょう。
問題と課題の違いのまとめ
以上で学んだことをまとめてみましょう。
問題と課題の違いは?
- 問題とは、発生しているネガティブな事柄のこと
- 課題とは、発生しているネガティブな事柄を解決するために行うことで、ポジティブな表現で自分達の意志が入ったもののこと
- 問題点とは、問題全体の中の一部で、改善可能なこと、手を打つことが出来ることを洗い出したもののこと
問題と課題を使い分けるべき理由
- 全員に分かる言葉で表現していなければ「問題」が一人ひとり違ってしまう
- 図で描いてみると、複雑そうに感じていたものが明確になる
言葉の使い方の違いだけで、思うように物事が進まないのは勿体ないですよね!曖昧なニュアンスを含んでしまう日本語だからこそ、しっかり言葉の意味を理解して活用できるようにしていきたいですね。
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