見える化とは?情報のジャストインタイムや見える化の注意点を解説
見える化のポイント
見える化とは
見える化とは、必要な情報を現場でリアルタイムに見えるようにすることで、異常や問題にすぐに気付き、迅速に問題を解決し、再発防止策を打てるような仕組みをつくることです。正しく見える化されていることにより、企業活動を行っていく上で生じる様々な変化に気付くことが可能です。
ビジネス環境の変化が激しい現代でも、強い企業・組織であり続けなければいけません。そのためには、自律的に正しい意思決定ができ、常により良い状態に改善し続けるために「見える化」が必要なのです。
見える化は、問題意識、気付きを与え、改善意識を促し、問題解決の行動に繋げることを目的としています。ただ見えるようにするだけでなく、問題解決や再発防止、仕組み化等がキーワードになります。
本ページでは、必要な情報を見える化し、異常や問題にすぐに気付いて問題を解決を行なう仕組みをつくる為の、「見える化の目的」、「見える化のポイント」、「見える化の5つの心得」について解説をしています。
カイゼンの基本とも言える「見える化」について、目的やポイント、注意事項を確認していきましょう。
何を見える化するのか?
そもそも何を見える化すればよいのでしょうか。見える化されるものの代表例をいくつか挙げましょう。
方針・目標管理においては、会社方針、活動計画・進捗、生産性指標、品質指標、リードタイム、在庫回転率等があります。
日常業務管理においては、業務進捗管理表、生産進捗管理表、設備稼働率の推移、設備点検結果表、不適合発生率の推移等があります。
品質管理においては、クレーム発生率、不良損金の推移等があります。
その他として、改善提案内容、スキルマップ表等があります。
これらが見える化すべきものの代表例ですが、注意したいことは、何でも見える化すればよいわけではないことです。情報が多すぎると、逆に何も見えなくなるので要注意です。
見える化の狙い
見える化の狙いは、次の通りです。
まず、必要な情報を現場でリアルタイムに見えるようにすることで、問題・異常にすぐに気付くことができます。
そして、気付いた異常や問題を情報として共有化することで、職場として改善の必要性が認識されます。
また、迅速に問題を潰し込み、再発防止策を打つことで、問題解決し、仕組み化することに繋がります。
ただ見えるようにするだけでなく、問題解決や再発防止、仕組み化が狙いです。
見える化のポイントと注意点
情報のジャストインタイム
では次に、見える化のポイントについて説明していきます。見える化のポイントの1つ目は、情報のジャストインタイムです。
情報のジャストインタイムとは、
・必要な情報だけを
・必要な人、必要な場所に
・必要なタイミングで提供しようという考え方です。
情報をジャストインタイムに提供し、興味を持って確実に見えるようにすることが非常に大切です。
活きた情報を!
ジャストインタイムが満足出来ていない情報は、単なる数字・文字の羅列にすぎません。
活きた情報を出せているかを常に意識して、見える化を推進するようにしましょう。
見える化の注意点
せっかく見える化をしても・・・
では次に、「見える化の注意点」を確認していきます。
せっかく見える化しても有効に機能していないということが起きないように、次のことに注意しましょう。
まずは、本当に必要な情報が見えているかです。そもそも見せたい情報が何か明確になっていない場合は、必要な人に必要なことが見えていない可能性があります。
次に、見せようとしているかです。見る人の視野に飛び込んでくるように工夫されているかが重要です。
最後に、見ようとしているかです。問題意識を持って見るように、意識付けがされているかどうかは、情報の有効性を左右します。
「見れるようになっているから、見ない方が悪い。」というのは、見せる側の理屈です。基本的には、見せる側が見る側のことを考えながら見せ方を変えたり、見てもらえるように動機付けをしていかなければいけません。
以降では、この中で特に重要な、「見せようとしているか」について、詳しく説明していきます。
見せようとしているか
例えば、見せたい情報が、「生産性」の場合、このような表が貼り出されていると、どのような効果があるでしょうか。
実は、このような数字がただ羅列された表が貼り出されていても、ほとんど誰の目にも留まることはありません。
なぜでしょうか?
それは、見る側の人が、興味を示してもらえないからです。
一目で変化が分かるように
基本的に、数字の羅列には誰も興味を示すことはありません。
いくら経営的に重要だとは言っても、一目見ても自分にとって重要性が認識できないものには興味が持てないのです。従って、ポイントの1つ目は、「一目で変化が分かるようにグラフ化すること」です。
ただグラフ化をすればよいわけではない
ただし、グラフ化すると言っても、ただグラフ化をすればよいわけではありません。
例えば、このグラフを見て、どんなことに気付くことができるでしょうか。
恐らく、「生産性は比較的高いレベルで推移しているのでは」、「バラツキが少しあるのではないか」、といったことが挙がると思います。
しかし、この気付きは本当に正しいのか、そして望まれるアクションに繋がってくれるのかというと、当然疑問符が付いてしまいます。
縦軸は狭い範囲とする
そこで、ポイントの2つ目は、変動が見やすいように、縦軸は狭い範囲とすることです。
先程のように、0~120%のような大きな範囲でグラフを描いてはいけません。今回の場合は、80~120%の範囲で描くと、先ほどとは少し違った視点で傾向が見えてきそうです。
ただし、これだけでは不十分です。どこが足りないか分かりますか?
誰が見ても異常が一目で分かるようにする
ポイントの3つ目は、色分けをする等、誰が見ても異常が一目で分かるようにすることです。
例えばこのグラフのように、緑色の範囲が正常範囲と分かるようにしておくと、どこが異常だったかを誰でも同じように気付くことが可能です。
この場合は、5日間も異常値が出ていることが分かりました。当初のグラフで比較的高いレベルで推移していると感じたのとは、正反対の結果となります。
このように、見える化においては、見せ方によって、効果が大きく変わります。ただ闇雲に、「見える化」と称して色々なものを貼り出しても、見せ方が適切でなければ、見る側の判断も望まれるものにはなりません。
情報をジャストインタイムで適切に見せていくことを常に意識して、見える化を進めるようにしましょう。
忘れてはいけないこと!
では次に、見える化のポイントの4つ目として、IT活用の注意点について説明していきます。近年、ITツールの進化により、比較的容易に、情報のインフラを整備することが可能となりました。
ただし、いくらITツールが進化したと言っても、忘れてはいけないことがあります。
それは、
・ITには見せようとする意思はないこと
・「見てくれるはず」という前提で考えてはいけないこと
・ITツールで見せるために、情報の鮮度を犠牲にしてはいけないこと
です。特に3つ目の情報の鮮度に関しては、よく注意を払っておく必要があります。
具体的な悪い例を見てみましょう。
こんなケース、ありませんか?
次のようなケースはないでしょうか。
「毎日、生産日報の記入・集計をしているものの、パソコンへのデータ入力は週に1回しかしておらず、グラフも1週間前までのものを現場に貼り出している。」
このような例は、見える化の目的を全く理解していない証拠です。
情報には鮮度があります。例えば生産日報であれば、1週間も前の事を表示され問われても、なぜ変化があったかは覚えていろというほうが無理があります。
生産日報から計算する生産性指標等は、情報の鮮度を大事にし、即座に手書きで書くほうが、よっぽど効果が大きくなります。
キレイなグラフを描くことが目的ではなく、問題に気付き、行動を起こすことが目的です。そのためには手書きのようなアナログが有効なこともあるのです。
パソコンの中にいくら沢山のデータがあっても、見ようとする意思のある人以外にはITツールは有効ではありません。
沢山のデータに対する数値解析等、ITが得意な分野はフル活用しつつも、手書きの様にアナログの方が有効な場合は、アナログでの情報管理を行なう等、しっかりと有効性を見極めるように心掛けましょう。
正しい見える化の進め方
ダメな見える化の進め方は・・・
では次に、「正しい見える化の進め方」についてです。
ダメな見える化の進め方は、このように、情報を沢山表示し、見せたいものを更に強調して見せるやり方です。
これでは、本当に必要な情報が必要な人に届かない可能性があります。
正しい見える化の進め方
正しい見える化の進め方は、まずは、必要な情報だけに見える化するものを絞り、そして、見る人が見やすいように整理整頓して表示をします。
その上で、重要度が低いものは薄くし、高いものは濃くして表示する、というようなやり方が正しい見える化です。
このような考え方で見える化をすると、必要な情報がしっかりと必要な人に届く可能性が高まるのです。
指標のグラフ化の3つのポイント
では指標のグラフ化の3つのポイントについて確認しましょう。
ポイントは、過去(推移)が見えること、現在(現状)が見えること、未来(目標)が見えることの3つです。
過去(推移)の見える化は、見えない状態を見えるようにすることに加え、変化点等、これまでどのような推移があったかを見えるようにすることが必要です。
そして、現在(現状)の見える化は、今の立ち位置として、どのくらいの数字になっているか、初期からどのくらい向上したかを見えるようにすることが必要です。
さらに、未来(目標)の見える化は、目標値に対して、残りのギャップがどのくらいかを捉えることが出来るように、数値で見えるようにすることが必要です。
これらの過去、現在、未来の3つのポイントを押さえて、指標の見える化を推進していくようにしましょう。
見える化の5つの心得
続いて、「見える化の5つの心得」を確認します。
見せたくないもの(悪い情報)こそ見えるようにする!
1つ目は、見せたくないもの、つまり悪い情報こそ見えるようにすることです。
悪い情報ほど、見える化は大切であり、情報の価値は高いものになります。そのためにも、悪い情報を隠してしまうことがないような風土づくりが必要です。
あまりにも責任追及型の風土であると、どうしても問題を隠そうとする心理が働いてしまいます。
見せるものを絞る!
2つ目は、見せるものを絞ることです。ここまでの講義でも説明したように、情報が多すぎると、逆に見えにくくなります。
どんな情報を確実に見えるようにしたいか、見せるべきものにしっかりと絞るようにしましょう。
シンプルに!
3つ目は、情報をシンプルに見えるようにすることです。いくら良い情報が多くあっても、分かりにくければ、見る側は見る気になってくれることはありません。
また、分かりにくい情報、見ようと思えない情報を見える化して、「見てくれない」と嘆いても何の意味もありません。シンプルに誰が見ても見やすい情報を見える化することを心掛けましょう。
出来るだけタイムリーに!
4つ目は、出来るだけタイムリーに見えるようにすることです。
情報の価値は、時間が大きく影響します。遅すぎる情報は、価値を生むどころか、悪影響にすらなります。すぐに必要な情報は可能な限りタイムリーに目に入ってくるようにしていきましょう。
なお、見える化が遅くなるくらいであれば、パソコン入力ではなく、手書きでも十分です。見栄えよりも、情報の鮮度の方を優先していくようにしましょう。
伝聞情報より事実を大切に!
5つ目は、伝聞情報より事実を大切にすることです。
人づてに伝達された情報だけが、事務所で見えるようになっているだけではいけません。三現主義ベースの情報がきちんと見えるように心掛けていきましょう。
見える化のまとめ
以上で学んだことをまとめてみましょう。
現見える化とは?情報のジャストインタイムとは?
- 見える化とは、必要な情報を現場でリアルタイムに見えるようにすることで、異常や問題にすぐに気付き、迅速に問題を解決し、再発防止策を打てるような仕組みをつくること
- 情報のジャストインタイムとは、「必要な情報だけ」を、「必要な人、必要な場所」に、「必要なタイミング」で提供しようという考え方のこと
- 見える化の5つの心得とは、「見せたくないもの(悪い情報)こそ見えるようにする」「見せるものを絞る」「シンプルに見えるようにする」「出来るだけタイムリーに見えるようにする」「伝聞情報より事実を大切にする」
いかがでしたか?本ページでは、カイゼンの基本とも言える「見える化」について解説を行いました。モノだけではなく、情報もジャストインタイムで提供していかなければいけません。見える化の5つの心得を忘れずに、正しいカイゼンを進めていきたいですね!
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