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品質保証とは?品質管理との違いやブラインドチェックと品質保証の関係を解説

品質チェックをするイメージ画像
小川 裕之

小川 裕之

コーディネーター
人材教育コンサルタント

自動車部品メーカーにおいて、生産部門・品質部門・生産管理・生産技術等のマネジメント業務を幅広く経験。現在は、現場改善や工場改革、人材教育に関するソリューション活動に尽力中。

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品質保証(ひんしつほしょう)とは

品質保証とは、お客様が安心して使用できるように保証すること。QA(Quality Assurance)と略されます。

品質保証を行なう上では、お客様に対して、そのモノが状態・機能/性能・コスト・納期の全てが満足している証拠を提供することが求められます。

例えば、家電製品の場合は、メーカー1年保証となっていることが多いのですが、これは1年間は何があっても機能・性能を保証することを約束したものとなります。お客様の使用状況等を踏まえ、寿命まで含めた保証を提供することが重要となるのです。

なぜ明らかな不良を流出してしまうのか

鋳鉄品を製造しているある会社に訪問した際、こんな問題が発生していました。

「明らかに誰が見ても不適合と分かるモノを流出してしまった。」

たまたま前日に発生したもので、実際に私もその不適合品を見させて頂きましたが、たしかに誰が見てもわかる、なぜこんなモノが流出するのか、疑問に思うものでした。(鋳鉄品の中央の大きな貫通穴にバリが張ってしまい穴を塞いでいる状態)

流出したモノを最終工程で検査していた人は、ベテランで勤勉な作業員の方でした。

「あの人がズルをして検査を飛ばすわけがない。」
「あの人が見逃すわけがない。」
と言って、お蔵入りしそうな雰囲気に一旦「待った」を掛けました。

そして、実際に現場で検査の様子を見てみると、私も製造部長もすぐにあることに気付きました。

「非常に要領よく検査をこなしている。しかし、基準書等、何かを確認しながら 進めるわけでもなく、知識や経験をフル活用して判断をしている。」
という点でした。

人間の基本特性である「ヒューリスティック」が悪さをする

人間の基本特性として「ヒューリスティックな判断をする」ことがあります。

ヒューリスティックとは、情報をざっくりとだけ把握し、物事を直感的に掴むこと。

我々人間は、ヒューリスティックな判断を日々繰り返していますが、これが時として思い込みエラーに繋がってしまうのです。

この会社のケースで考えてみると、あくまで推測ではあるものの、始めの数個を確認した時点で、「このロットの製品は、これまでバリが出ていないから、経験上、 残りの製品もバリが出ていないはずだ」という判断を無意識的に行ない、以降の目視確認を飛ばしてしまった可能性があります。

半年に1回流れてくるかもしれない不適合に対して、日々検査をしていると、いくら真面目なベテランでも「今日も不適合品はないだろう」という気持ちが芽生えてくるのは当然です。これが人間の特性です。

ブラインドチェックのススメ

それに対して、「いつも緊張感を持て!気を緩めるな!」というのは、人間の特性に立ち向かうようなもので、あまり効果的とは言えません。

そこで活用したいのが、ブラインドチェックという方法です。

ブラインドチェックとは、普段の通常の流れの中に、意図的に不適合品を混ぜて流しそれを検査で発見できるかをチェックする方法。目を閉じて行なう検査のことではないので注意のこと。

ブラインドチェックと品質保証

この会社でも、ブラインドチェックを実施することにしました。
週に1回、ランダムな曜日で、ランダムに製品を選び、ランダムな部位に1cm程のシールを貼り付けて流し、このシールを発見できるかチェックしました。やり始めは意識も高く、全てのシールを発見したものの、2ヶ月が過ぎようとしていた時に、ついにシールの見逃しが出ました。

見逃しが出たら全員が集まり議論をして、対策検討しながら意識も高めます。これが定期的に行なわれることにより、流出防止が図られるのです。後追いではなく流出する前に、自社内で定期的に意識を高める仕組みを運用する。これがブラインドチェックの狙いであり、品質保証においては、欠かせない考え方となります。

あなたの職場でも、見逃しが定期的に発生する場合は、ブラインドチェックの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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